大植英次 マーラー3番 三度目

大植英次指揮大阪フィルハーモニーのマーラーの3番を聴いてきました。2005年のザ・シンフォニーホール、2012年の兵庫県立芸術文化センターに続いて、フェスティバルホールでの演奏です。すばらしい!の一言です。2005年の演奏はお世辞にも最高とは言い難いものでした。オーケストラの技量に問題があり、大植さんとしては意志に反して早いテンポで演奏せざるを得なかった感がありました。また、金管楽器にもかなり問題があり、朗々と歌い上げる終楽章も手放しにいただけるものではありませんでした。但し、舞台裏でのフリューゲルホルンの独奏(秋月さん)は大変見事で感動的でした。2012年の兵芸での演奏は、7年間の大フィルの進化が顕著に感じられる素晴らしいものでした。大植さんの意図するゆっくりしたテンポに大フィルが確実に応じて、不安感の一切無い堂々たる演奏でした。フリューゲルホルンは篠崎さんで舞台上に秋月さんがいたので、終楽章の長いフレーズも大変感銘的。唯一惜しまれたのがホルンです。そして、今回の演奏でそのホルンが素晴らしくなっていました。終楽章の最初の弦楽合奏の後、オーボエが出て続いてホルンが奏でるところ、何ともふくよかで朗々としているのですが、その中に哀愁をしっかりと感じさせる鳥肌ものの演奏です。また、テンポは2012年の時よりさらにゆったりしているのですが、その中に大きな起伏があり、大植さんの感情の動きを大フィルがしっかり受け止めていて、この3年間の進化が顕著に感じられました。大植さんが音楽監督を辞められた後、大フィルは船頭を失った状態かと思えましたが、心配無用のようです。