「Classical Music」カテゴリーアーカイブ

IPoE V6プラス 固定IP その後

 過去にプロバイダーIPQにて、IPv4 over IPv6 (いわゆる V6プラス) の設定過程を報告しましたが、先日プロバイダーを en光 に変えました。理由は、同じJPNE MAP-Eを使っているので、品質も設定も変わらないはずだから、少しでも安いところにと思っただけです。ところが、なかなか曲者で一波乱ありました。
 相手側のBRアドレスも変わらず、払い出されたIPv6アドレスも変わらなかったので、これは楽勝と思ったのですが、IPv6もIPv4も全くつながらない。色々調べていくうちにYAMAHAのサイトでV6プラスMAP-E対応機種の一覧があり、RTX-1210やRTX-830が載っていたのですがなんとRTX-810が無い。設定例をみると、
tunnel encapsulation map-e
という設定が使える機種ということのようでした。確かにRTX-810にはtunnel encapsulationのTYPEにmap-eというのは無いので、このプラバイダーの新らしい仕様かを思い、最悪ルーターの買い替えかとえらいことをしてしまったものだと落ち込んでしまいました。しかしよくよく考えると、IPv6もつながらないのはこれとは関係ないし、IPv4もNATしているのはプロバイダーでは無くJPNEなんだから、今までつながっていたルーターでつながらない訳はないと気を持ち直しました。変わったのはプロバイダーだけなんだから、まずはプロバイダーに問い合わせよう。技術担当が捕まり話していると、どうもホームゲートウェイにIPv6アドレスを割り振ってトンネルの終端もそこにくるように設定していたようです。そこで、ホームゲートウェイは単なるONU扱いにして、IPv6アドレスをRTX-810のWAN側に設定するよう変更してもらいました。これでIPv6は開通。次にIPv4ですが、以前の設定を確認すると、tunnel encapsulation ipip という設定で動いていたようです。ただこの設定例は今やどこにもないようなので、推奨も保障もないのでしょう。ともあれ、これでIPv4も開通しました。
 結局tunnel encapsulation map-eの設定ができない古いルーターでのV6プラス設定は次の通り。

ipv6 prefix 1 ra-prefix@lan2::1:0:0:0:1/64
ipv6 lan1 address ra-prefix@lan2::1:0:0:0:1/64
ipv6 lan1 rtadv send 1 o_flag=on
ipv6 lan2 address ra-prefix@lan2::<インターフェイスアドレス>/64
ngn type lan2 ntt
tunnel select 1
tunnel encapsulation ipip
tunnel endpoint address <BRアドレス>
ip tunnel mtu 1460
ip tunnel nat descriptor 1
ip tunnel tcp mss limit auto
tunnel enable 1
nat descriptor type 1 masquerade
nat descriptor address outer 1
nat descriptor address inner 1 192.168.xxx.yyy-192.168.zzz.www

めでたしめでたし!

メンデルスゾーン 「讃歌」

 大阪アカデミー合唱団、関西フィルののメンデルスゾーン「讃歌」を聴いてきました。日本ではめったに演奏されない曲ですが、大変親しみやすい曲なので、もっと取り上げていただきたいものです。ここ十年ほどで関西で公演があったのは、大阪音楽大学卒業演奏会、日本センチュリー(旧 大阪センチュリー時代)定期、大阪交響楽団(茨木市民合唱団定期)ぐらいだと思います。
 さて、今回の関西フィルの演奏、実は数年前から定演のアンケートに「12月の第九は他のオケに任せて、讃歌に変えたら?」と書いていたので、グッドタイミングでした。合唱団の定期ですのでそれに合わせて比較的小型の編成でした。ただ、あまり演奏機会が少ないせいか、こなれていない感じです。松原さんは変にベルカントにならず好演でした。橘さんは主役をきっちりと演じた感じです。オルガンの片桐さんはいつものように素晴らしい!ワクワクする演奏でした。コンミスは元大阪フィルの渡辺美穂さんではなかったでしょうか?大フィルを退団されて残念でしたが、これからも是非関西地区でご活躍されるよう期待しています。全体としては良くまとまっていたのですが、合唱の各パートがもう少し良く分離してメリハリがあれば、独唱との掛合いが生きてきたと思います。

朴葵姫 三度

 兵芸小ホールで、三度目の朴葵姫リサイタルを聞きました。前回は台風の最中だったこともあり、何となくそわそわした感があり、あまり高い評価はできませんでした。
 さて、今回はソルとバッハの曲目があり、新たな楽しみを持って聴きに行きました。確かなテクニックと美しい音はいつも通りの期待がありましたが、ソルのような古典の安定感やバッハのような敬虔さ、それに両者に通じる構築美のようなものをどこまで表現してもらえるか、そのあたりの進化を楽しみにしていました。
 さて、舞台に現れた朴葵姫さんは、大変リラックスで穏やかな表情に見え、演奏が始まると、気負うこと無く気持ちよく演奏しているように見受けました。このホールはギター独奏者にとっては本当に気持ち良いホールなんでしょう。魔笛は以前にも聴いたことがありますが、その時以上に自然な流れで大げさにならず朴葵姫さんらしい曲に仕上がっていました。シャコンヌもその傾向は同じなのですが、より構築美を意識した安定感のある演奏を目指しているように思えました。今後はさらに重心の低い、密度の濃いバッハを目指して活躍されることと思います。また、聴きにいこうと思います。

児玉宏 最後のブルックナー

大阪交響楽団のブルックナーシリーズ、最後の9番を聴きました。私が聴き出したのは2006年の7番からですので、3番以外は全部聴いたことになります。初めて7番を聴いた時のことは鮮明に覚えています。それまで朝比奈さんの武骨な力強いブルックナーに慣れていたので、とっても繊細で上品、しかし本質をしっかりとらえた演奏は誠に新鮮でした。もしかしたら、これはすごいかもしれない。そう思い、9年間聴き続けました。その間、大阪交響楽団の技量も確実にアップし、児玉さんの意図することをしっかり受け止めるようになりました。印象に残っているのは2010年の2番。当時シモーネ・ヤングのCDが話題になった曲でもあり、聴く側にも期待感が充満してました。何とも美しい緩徐楽章に息を飲みました。決して暴れることは無いのですが、十分に力強くそして哀愁を安っぽくさせず、高い次元で融合できた演奏です。今回の9番の終楽章に通じるものです。さて、今回の演奏ですが、期待を裏切らない十分に練られた演奏だったと思います。しかしながら、聴く側の期待感が大きすぎたのか、もう少し、という不満も残りました。金管パートに比べ弦の厚みがどうしても足らない感があります。大フィルと比べると明かですね。いつも思うのですが、オーボエの津末さんの演奏は素晴らしいですね。ふくよかな響きですが、決して歌いすぎず上品さを保ち、それでいてしっかり主張している。ここは、大フィルより上かな?さて、ブルックナーが終わって、今後はどんな展開になるのか楽しみです。余談ですが、トランペットには大フィルの篠崎さんがトラで吹いていらっしゃいました。先週のマーラーの3番、お疲れ様でした。

大植英次 マーラー3番 三度目

大植英次指揮大阪フィルハーモニーのマーラーの3番を聴いてきました。2005年のザ・シンフォニーホール、2012年の兵庫県立芸術文化センターに続いて、フェスティバルホールでの演奏です。すばらしい!の一言です。2005年の演奏はお世辞にも最高とは言い難いものでした。オーケストラの技量に問題があり、大植さんとしては意志に反して早いテンポで演奏せざるを得なかった感がありました。また、金管楽器にもかなり問題があり、朗々と歌い上げる終楽章も手放しにいただけるものではありませんでした。但し、舞台裏でのフリューゲルホルンの独奏(秋月さん)は大変見事で感動的でした。2012年の兵芸での演奏は、7年間の大フィルの進化が顕著に感じられる素晴らしいものでした。大植さんの意図するゆっくりしたテンポに大フィルが確実に応じて、不安感の一切無い堂々たる演奏でした。フリューゲルホルンは篠崎さんで舞台上に秋月さんがいたので、終楽章の長いフレーズも大変感銘的。唯一惜しまれたのがホルンです。そして、今回の演奏でそのホルンが素晴らしくなっていました。終楽章の最初の弦楽合奏の後、オーボエが出て続いてホルンが奏でるところ、何ともふくよかで朗々としているのですが、その中に哀愁をしっかりと感じさせる鳥肌ものの演奏です。また、テンポは2012年の時よりさらにゆったりしているのですが、その中に大きな起伏があり、大植さんの感情の動きを大フィルがしっかり受け止めていて、この3年間の進化が顕著に感じられました。大植さんが音楽監督を辞められた後、大フィルは船頭を失った状態かと思えましたが、心配無用のようです。

HJリム ピアノリサイタル

HJリムのベートーヴェンピアノソナタリサイタルを聞いてきました。すごい!の一言。これだけ、感情を込めて演奏できる人が現代にいるでしょうか?「悲愴」の出だしの和音だけでビリビリッと電気が走りました。自由奔放なアーティキュレーションにドキドキの連続です。「ヴァルトシュタイン」、「月光」、「熱情」どれも素晴らしいスリリングな演奏でした。そして、アンコールが「トリスタン」に始まり「ラ・ヴァルス」まで怒涛の5曲。あっという間の2時間に打ちのめされました。これだから、生演奏はやめられない。すごい若手が現れたものです。今後、音の粒がさらに洗練されていけばどんな音楽が作られるのか、本当に楽しみです。決して今の情熱をなくすこと無く大きくなってください。応援します。

朴葵姫、再び

7月10日、台風接近の中、兵庫県芸術文化センター小ホールで朴葵姫ギターリサイタルを聴いてきました。以前と同じホールです。やはりギターリサイタルにはうってつけのホールですね。良く響くホールでギターの微妙なタッチの違いによる音色が良く分かります。さて、演奏の方ですが、以前の時の衝撃に比べると少々集中力に欠けるものでした。魔笛ではミスタッチが気になりましたし、アルハンブラでも一瞬繰返しを間違えたように思いました。しかし、さすがにスカルラッティのソナタは良く引き込んでいる感があり、落ち着いていました。
今後、デュオや室内楽にも取り組んで欲しいですね。是非、このホールで。。